芥川 竜之介

着物

こんな夢を見た。

何でも料理屋か何からしい。広い座敷に一ぱいに大ぜい人が坐つてゐる。それが皆思ひ思ひに洋服や和服を着用してゐる。

着用してゐるばかりぢやない。互に他人の着物を眺めては、勝手な品評を試みてゐる。

「君のフロックは旧式だね。自然主義時代の遺物ぢやないか。」

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