泉 鏡花

雪霊記事

一

「此のくらゐな事が……何の……小兒のうち歌留多を取りに行つたと思へば――」

越前の府、武生の、侘しい旅宿の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行惱みながら、私は――然う思ひました。

思ひつゝ推切つて行くのであります。

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