海野 十三
ネオン横丁殺人事件
1
近頃での一番さむい夜だった。
暦のうちでは、まだ秋のなかに数えられる日だったけれど、太陽の黒点のせいでもあろうか、寒暖計の水銀柱はグンと下の方へ縮[#ルビの「ちぢ」は底本では「ちじ」]んでしまい、その夜更け、戸外に或いは立ち番をし、或いは黙々として歩行し、或いは軒下に睡りかけていた連中の誰も彼もは、公平にたてつづけの嚔を発し、
「ウウウン、今夜は莫迦に冷えやがる」
海野 十三
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近頃での一番さむい夜だった。
暦のうちでは、まだ秋のなかに数えられる日だったけれど、太陽の黒点のせいでもあろうか、寒暖計の水銀柱はグンと下の方へ縮[#ルビの「ちぢ」は底本では「ちじ」]んでしまい、その夜更け、戸外に或いは立ち番をし、或いは黙々として歩行し、或いは軒下に睡りかけていた連中の誰も彼もは、公平にたてつづけの嚔を発し、
「ウウウン、今夜は莫迦に冷えやがる」