海野 十三柿色の紙風船「おや、ここに寝ていた患者さんは?」と林檎のように血色のいい看護婦が叫んだ。彼女の突っ立っている前には、一つの空ッぽの寝台があった。「ねえ、あんた。知らない?」彼女は、手近に居た青ン膨れの看護婦に訊いた。青空文庫の作品カード