海野 十三

蠅

小春日和の睡さったらない。白い壁をめぐらした四角い部屋の中に机を持ちこんで、ボンヤリと肘をついている。もう二時間あまりもこうやっている。身体がジクジクと発酵してきそうだ。

白い天井には、黒い蠅が停っている。停っているがすこしも動かない。生きているのか、死んでいるのか、それとも木乃伊になっているのか。

それにしても、蠅が沢山いることよ。おお、みんなで七匹もいる。この冬の最中に、この清潔な部屋に、天井から七匹も蠅がぶら下っていてそれでよいのであろうか。

そう思った途端に、耳の傍でなんだか微かな声がした。ナニナニ。蠅が何かを咄して聴かせるって。

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