大阪 圭吉

気狂い機関車

一

日本犯罪研究会発会式の席上で、数日前に偶然にも懇意になったM警察署の内木司法主任から、不思議な殺人事件の急電を受けて冷い旅舎に真夜中過ぎの夢を破られた青山喬介と私は、クレバネットのレイン・コートに身を包んで烈しい風を真面に受けながら、線路伝いに殺人現場のW停車場へ向って速足に歩き続けていた。

沍て泣き喚く様な吹雪の夜の事だ。

雪はやんでいたが、まだ身を切る様な烈風が吹捲り、底深く荒れ果てた一面の闇を透して遠く海も時化ているらしく、此処から三哩程南方にある廃港の防波堤に間断なく打揚る跳波の響が、風の悲鳴にコキ混って、粉雪の積った線路の上を飛ぶ様に歩いて行く私達の跫音などは、針程も聴えなかった。

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