岡本 綺堂

中国怪奇小説集

第十五の男は語る。

「わたくしは最後に『閲微草堂筆記』を受持つことになりましたが、これは前の『子不語』にまさる大物で、作者は観奕道人と署名してありますが、実は清の紀※(「日+均のつくり」、第3水準1-85-12)であります。紀※(「日+均のつくり」、第3水準1-85-12)は号を暁嵐といい、乾隆時代の進士で、協弁大学士に進み、官選の四庫全書を作る時には編集総裁に挙げられ、学者として、詩人として知られて居ります。死して文達公と諡されましたので、普通に紀文達とも申します。

この著作は一度に脱稿したものではなく、最初に『※(「さんずい+欒」、第3水準1-87-35)陽鎖夏録』六巻を編み、次に『如是我聞』四巻、次に『槐西雑誌』四巻、次に『姑妄聴之』四巻、次に『※(「さんずい+欒」、第3水準1-87-35)陽続録』六巻を編み、あわせて二十四巻に及んだものを集成して、『閲微草堂筆記』の名を冠らせたのでありまして、実に一千二百八十二種の奇事異聞を蒐録してあるのですから、とても一朝一夕に説き尽くされるわけのものではありません。もしその全貌を知ろうとおぼしめす方は、どうぞ原本に就いてゆるゆる御閲読をねがいます」

落雷裁判

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