小栗 虫太郎

人外魔境

大魔境「悪魔の尿溜」

フランスの自動車会社シトロエンの探検隊――。これは、米国地理学協会ほどの大規模なものではないが、とにかく一営利会社としてはなかなかの仕事をしている。最初は、アフリカのサハラ沙漠を牽引車で突破し、続いて、ペルシア、中央アジアを経てペキンまで、無限軌道をうごかしていった大旅行隊をさえだしている。

さて、その三回目の計画であるが、すでに選定もすみ雨期あけを待つばかりだそうである。それも、これまでのような自動車旅行ではなく、謎と臆測と暗黒のうちにうずもれている、前人未踏の神秘境を指しているのだ。

では、どこか? そんな土地がまだこの地球上にあるのかと、読者諸君は不審がるだろうが、あるとも大有りである。

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