加藤 文太郎

単独行

A 槍ヶ岳・唐沢谷

一月二十六日 快晴 六・〇〇島々 一一・〇〇沢渡 一・三〇中ノ湯 三・一五―三・五〇大正池取入口 四・五〇上高地温泉

 中ノ湯附近は発電所入口や、水路工事などの人々が始終通るので、雪も少なく楽だった。ここでスキーを履き、トンネルを出てすぐ河原に下り川床伝いに行く。いつも世話になる大正池の水路取入口で、山の様子を聞く。去年の二月、上高地におった日、遊びにきたここの人がその夏、不慮の災難で亡くなられたと知って何だか淋しくなってしまった。温泉まではここの人がよく通るのでシュプールが残っており、知らぬ間に歩いてしまう。そしてあの親切な老爺が「よくやってきた」と喜んで迎えてくれた。

二十七日 快晴 六・〇〇出発 一〇・三〇―一一・〇〇一ノ俣 二・三〇大槍小屋スキー・デポ 五・一五槍頂上 七・〇〇スキー・デポ 九・三〇一の俣

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