国枝 史郎

高島異誌

妖僧の一泊

「……ええと、然らば、匁という字じゃ、この文字の意義ご存知かな?」

本条純八はやや得意気に、旧い朋友の筒井松太郎へ、斯う改めて訊いて見た。二人は無聊のつれづれから、薄縁を敷いた縁側へ、お互にゴロリと転りながら、先刻から文字の穿鑿に興じ合っているのであった。

「匁という文字の意義でござるか? いやいや拙者不案内でござるよ」

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