堺 利彦
貧を記す
月曜付録に文を投ぜんの約あり。期に至りて文を得ず、しかれども約は果たさざるべからず。すなわちわが日記をくり返して材を求む。材なし。やむことをえずしてここにわが貧を記す。もとより日記の文をそのままに摘録せるなり。我と共に貧なる者は世に貧同人のあることを知れ。富貴なる者は単にわがごとき貧者のこの世に存在することを知れ。
新居
三月二六日、有楽町の家を借りてそうじしつ。
二八日、垂柳子住み込みぬ。垂柳子のいとこ某を雇い来たって小使いなど頼めり。主人たる我はここにおるがごとくおらざるがごとし。○○町の宿の払いのできぬゆえ荷物も取寄せられぬなり。