佐々木 味津三

十万石の怪談

一

燐の火だ!

さながらに青白く燃えている燐の火を思わすような月光である。――書院の障子いちめんにその月光が青白くさんさんとふりそそいで、ぞおっと襟首が寒む気立つような夜だった。

そよとの風もない……。

青空文庫の作品カード