高村 光雲
幕末維新懐古談
木寄せのことを、ざっと話して置きましょう。
仏師に附属した種々の職業が分業的になってある中に、木寄師もその一つであります。これは材料を彫刻家へ渡す前に、その寸法を彫刻家の注文通り断ち切る役なのです。
正式の寸法の割合として、たとえば坐像二尺の日蓮上人、一丈の仁王と木寄せをして仏師へ渡します。結局、仏師が彫るまでの献立をする役です。これは附属職業の中でも重要なもので、それに狂いがあっては大変です。建築でいえば立前だから立前が狂っていては家は建たぬわけ、木寄師がまずかった日には仏師は手が附かぬというのです。
木寄師の仕事はこのほかに天蓋の鉢、椅子、曲※(「碌のつくり」、第3水準1-84-27)、須弥壇、台坐等をやる。なかなか大変なものである。