宮本 百合子

一日

降りたくても降れないと云う様な空模様で、蒸す事甚い。

今朝も早くから隣の家でピアノを弾いて居るが気になって仕様がない。

もう二三年あの人は、此処に別荘を持って居て、ついぞ琴の音もした事がないのに、急にピアノがきこえて、それが又かなりよい音だ。

おとといの晩から、何かして居ても、聞えると、一寸手をとめて耳をすます。

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