田中 貢太郎
狐と狸
燕の恵王の墓の上に、一疋の狐と一疋の狸が棲んでいた。二疋とも千余年を経た妖獣であったが、晋の司空張華の博学多才であることを知って、それをへこますつもりで、少年書生に化けて、馬に乗って出て往こうとすると、華表神が呼び止めて、
「君達はどこへ往くのか」
と聞いた。華表神とは墓の前にある鳥居の神である。狸は華表神の問いに答えて、
「司空の張華と、議論しに往くところだ」
田中 貢太郎
燕の恵王の墓の上に、一疋の狐と一疋の狸が棲んでいた。二疋とも千余年を経た妖獣であったが、晋の司空張華の博学多才であることを知って、それをへこますつもりで、少年書生に化けて、馬に乗って出て往こうとすると、華表神が呼び止めて、
「君達はどこへ往くのか」
と聞いた。華表神とは墓の前にある鳥居の神である。狸は華表神の問いに答えて、
「司空の張華と、議論しに往くところだ」