田中 貢太郎

豕

李汾は山水が好きで四明山にいた。山の下に張という大百姓の家があって、たくさんの豕などを飼ってあった。永和の末であった。ちょうど秋の夜で、中秋の月が綺麗であるから、李汾は庭前を歩いた後に、琴を弾いていると、外の方で琴に感心しているような人の声がした。李汾は夜更けにこんな処へ何人が来たろうと思って、

「何人だね、この夜更けにやってきたのは」

と言うと、外から女の声で、

「私は秀才の琴を聞きにあがったのですよ」

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