中里 介山
大菩薩峠
一
お君は、やがて駒井能登守の居間へ通されました。
能登守の居間というのは、そこへ案内されたお君が異様に感じたばかりでなく、誰でもこの居間へ来たものは、異様の念に打たれないわけにはゆかないものであります。それは畳ならば六十畳ほどの広さを持った居間に、畳を敷いてあるのでなく、板張りにして絨氈のようなものが敷き詰められてありました。
その広い室の中央と片隅とに卓子が置かれて、その周囲には椅子が置かれて、四方には明るく窓が切ってあります。
中里 介山
一
お君は、やがて駒井能登守の居間へ通されました。
能登守の居間というのは、そこへ案内されたお君が異様に感じたばかりでなく、誰でもこの居間へ来たものは、異様の念に打たれないわけにはゆかないものであります。それは畳ならば六十畳ほどの広さを持った居間に、畳を敷いてあるのでなく、板張りにして絨氈のようなものが敷き詰められてありました。
その広い室の中央と片隅とに卓子が置かれて、その周囲には椅子が置かれて、四方には明るく窓が切ってあります。