折口 信夫

大嘗祭の本義

一

最初には、演題を「民俗学より見たる大嘗祭」として見たが、其では、大嘗祭が軽い意義になりはせぬか、と心配して、其で「大嘗祭の本義」とした。

題目が甚、神道家らしく、何か神道の宣伝めいた様なきらひがあるが、実は今までの神道家の考へ方では、大嘗祭はよく訣らぬ。民俗学の立場から、此を明らかにして見たい。

此処で申して置かねばならぬのは、私の話が、或は不謹慎の様に受け取られる部分があるかも知れない、といふ事である。だが、話は明白にせぬと何も訣らぬ。話を明白にするのが、却つて其を慕ふ事にもなり、ほんとうの愛情が表れる事にもなる。或は、吾々祖先の生活上の陰事、ひいては、古代の宮廷の陰事をも外へ出す様になるかも知れぬが、其が却つて、国の古さ・家の古さをしのぶ事になる。単なる末梢的な事で、憤慨する様な事のない様にして頂き度い。国家を愛し、宮廷を敬ふ熱情に於ては、私は人にまけぬつもりである。

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