三上 於菟吉

雪之丞変化

女がた

一

晩秋の晴れた一日が、いつか黄昏れて、ほんのりと空を染めていた夕映[#ルビの「ゆうばえ」は底本では「ゆえばえ」]も、だんだんに淡れて行く頃だ。

浅草今戸の方から、駒形の、静かな町を、小刻みな足どりで、御蔵前の方へといそぐ、女形風俗の美しい青年――鬘下地に、紫の野郎帽子、襟や袖口に、赤いものを覗かせて、強い黒地の裾に、雪持の寒牡丹を、きっぱりと繍わせ、折鶴の紋のついた藤紫の羽織、雪駄をちゃらつかせて、供の男に、手土産らしい酒樽を持たせ、うつむき勝ちに歩むすがたは、手嫋女にもめずらしい※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)たけさを持っている。

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