宮沢 賢治

ひのきとひなげし

ひなげしはみんなまっ赤に燃えあがり、めいめい風にぐらぐらゆれて、息もつけないようでした。そのひなげしのうしろの方で、やっぱり風に髪もからだも、いちめんもまれて立ちながら若いひのきが云いました。

「おまえたちはみんなまっ赤な帆船でね、いまがあらしのとこなんだ」

「いやあだ、あたしら、そんな帆船やなんかじゃないわ。せだけ高くてばかあなひのき。」ひなげしどもは、みんないっしょに云いました。

「そして向うに居るのはな、もうみがきたて燃えたての銅づくりのいきものなんだ。」

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