宮沢 賢治

葡萄水

(一)[#「(一)」は縦中横]

耕平は髪も角刈りで、おとなのくせに、今日は朝から口笛などを吹いてゐます。

畑の方の手があいて、こゝ二三日は、西の野原へ、葡萄をとりに出られるやうになったからです。

そこで耕平は、うしろのまっ黒戸棚の中から、兵隊の上着を引っぱり出します。

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