夢野 久作

斜坑

上

地の底の遠い遠い所から透きとおるような陰気な声が震え起って、斜坑の上り口まで這上って来た。

「……ほとけ……さまあああ……イイ……ヨオオオイイ……旧坑口ぞおおお……イイイ……ヨオオオ……イイ……イイ……」

その声が耳に止まった福太郎はフト足を佇めて、背後の闇黒を振り返った。

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