夢野 久作

鼻の表現

はしがき

「鼻の表現」なぞいう標題を掲げますと、人を馬鹿にしている――大方おしまいにお化粧品の効能書きでも出て来るのじゃないかと、初めから鼻であしらってしまわれる方が無いとも限りません。

しかし「鼻の表現」の一篇は、そんな不真面目なものではないのであります。初めからおしまい迄、「鼻の表現」なるものを、大にしては人類の盛衰、小にしては個人の死活にも関する大問題として極めて真面目に研究を進めて行ったものである事を、前以って御断り致しておきます。

それならば、この「鼻の表現」の一篇は独特の研究に依って編み出された新しい表現法であるかと云うに、これも左様でない事を御承知おき願わねばなりませぬ。

青空文庫の作品カード