蘭 郁二郎地図にない島一痛いばかりに澄み切った青空に、赤蜻蛉がすーい、すーいと飛んでいた。「もう終りだね、夏も――」中野五郎は、顔馴染になった監視員の、葦簾張りのなかに入りながら呟いた。青空文庫の作品カード