岡本 綺堂

中国怪奇小説集

第十の男は語る。

「わたくしは金・元を割り当てられました。御承知の通り、金は朔北の女真族から起って中国に侵入し、江北に帝と称すること百余年に及んだのですから、その文学にも見るべきものがある筈ですが、小説方面はあまり振わなかったようです。そのなかで、学者として、詩人として、最も有名であるのは元好問でありましょう。彼は本名よりも、その雅号の元遺山をもって知られて居ります。前に『夷堅志』が紹介された関係上、ここでは元遺山の『続夷堅志』を紹介することに致しました。

元は小説戯曲勃興の時代と称せられ、例の水滸伝のごとき大作も現われて居りますが、今晩のお催しの御趣意から観ますると、戯曲は勿論例外であり、小説の方面にも多く採るべきものを見いだし得ないのは残念でございます。就いてはまず『続夷堅志』を主として、それに元代諸家の作を付け加えることにとどめて置きました」

梁氏の復讐

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