寺田 寅彦花物語一 昼顔いくつぐらいの時であったかたしかには覚えぬが、自分が小さい時の事である。宅の前を流れている濁った堀川に沿うて半町ぐらい上ると川は左に折れて旧城のすその茂みに分け入る。その城に向こうたこちらの岸に広いあき地があった。青空文庫の作品カード