芥川 竜之介
春の夜は
一
僕はコンクリイトの建物の並んだ丸の内の裏通りを歩いてゐた。すると何か※(「鈞のつくり」、第3水準1-14-75)を感じた。何か、?――ではない。野菜サラドの※(「鈞のつくり」、第3水準1-14-75)である。僕はあたりを見まはした。が、アスフアルトの往来には[#「往来には」は底本では「住来には」]五味箱一つ見えなかつた。それは又如何にも春の夜らしかつた。
二
U――「君は夜は怖くはないかね?」
芥川 竜之介
一
僕はコンクリイトの建物の並んだ丸の内の裏通りを歩いてゐた。すると何か※(「鈞のつくり」、第3水準1-14-75)を感じた。何か、?――ではない。野菜サラドの※(「鈞のつくり」、第3水準1-14-75)である。僕はあたりを見まはした。が、アスフアルトの往来には[#「往来には」は底本では「住来には」]五味箱一つ見えなかつた。それは又如何にも春の夜らしかつた。
二
U――「君は夜は怖くはないかね?」