夢野 久作
縊死体
どこかの公園のベンチである。
眼の前には一条の噴水が、夕暮の青空高く高くあがっては落ち、あがっては落ちしている。
その噴水の音を聞きながら、私は二三枚の夕刊を拡げ散らしている。そうして、どの新聞を見ても、私が探している記事が見当らないことがわかると、私はニッタリと冷笑しながら、ゴシャゴシャに重ねて押し丸めた。
私が探している記事というのは今から一箇月ばかり前、郊外の或る空家の中で、私に絞め殺された可哀相な下町娘の死体に関する報道であった。
夢野 久作
どこかの公園のベンチである。
眼の前には一条の噴水が、夕暮の青空高く高くあがっては落ち、あがっては落ちしている。
その噴水の音を聞きながら、私は二三枚の夕刊を拡げ散らしている。そうして、どの新聞を見ても、私が探している記事が見当らないことがわかると、私はニッタリと冷笑しながら、ゴシャゴシャに重ねて押し丸めた。
私が探している記事というのは今から一箇月ばかり前、郊外の或る空家の中で、私に絞め殺された可哀相な下町娘の死体に関する報道であった。