林 芙美子
濡れた葦
1
女中にきいてみると、こゝでは朝御飯しか出せないと云ふことで、ふじ子はがつかりしてしまつた。子供たちは、いかにも心細さうにあたりをながめてゐる。ふじ子はひよいとしたら、丼物でもとつてもらへるかも知れないと、女中に、何か食べものを取りよせてもらへるかときいてみた。
「さうですねえ、お蕎麥か、親子丼ぐらゐのとこでしたら‥‥」
「ぢやア、親子丼とうどんかけを一つづつ取つて下さいませんか」
林 芙美子
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女中にきいてみると、こゝでは朝御飯しか出せないと云ふことで、ふじ子はがつかりしてしまつた。子供たちは、いかにも心細さうにあたりをながめてゐる。ふじ子はひよいとしたら、丼物でもとつてもらへるかも知れないと、女中に、何か食べものを取りよせてもらへるかときいてみた。
「さうですねえ、お蕎麥か、親子丼ぐらゐのとこでしたら‥‥」
「ぢやア、親子丼とうどんかけを一つづつ取つて下さいませんか」