林 芙美子
お父さん
1
僕はおとうさんが好きです。
おとうさんは、まるい顔をしています。このあいだ軍隊からかえってきました。僕は三年もおとうさんと会わなかったのです。おとうさんは、僕が寝ているうちにかえってきました。お土産に熊の仔を貰いました。熊の仔は、黒い木で刻んだものです。おとうさんは北海道に行つていたのです。
いつも僕は六時に起きて、妹や弟とおかあさんのお手伝いをするのですけれど、その朝は五時に起きました。だって、おかあさんが大きい声で、
林 芙美子
1
僕はおとうさんが好きです。
おとうさんは、まるい顔をしています。このあいだ軍隊からかえってきました。僕は三年もおとうさんと会わなかったのです。おとうさんは、僕が寝ているうちにかえってきました。お土産に熊の仔を貰いました。熊の仔は、黒い木で刻んだものです。おとうさんは北海道に行つていたのです。
いつも僕は六時に起きて、妹や弟とおかあさんのお手伝いをするのですけれど、その朝は五時に起きました。だって、おかあさんが大きい声で、