北条 民雄
外に出た友
「二三年、娑婆の風にあたつて来るよ。」
退院するY――を見送つて行くと、門口のところで彼はさう言つて私の手を握つた。
「うん、体、大切にしろ、な。」
と言つて、私はYの手を握りかへしてやつた。それ以上は何も言ふことがなかつた。手を放すとYは柊の垣に沿つて駅の方へ歩いて行つた。
北条 民雄
「二三年、娑婆の風にあたつて来るよ。」
退院するY――を見送つて行くと、門口のところで彼はさう言つて私の手を握つた。
「うん、体、大切にしろ、な。」
と言つて、私はYの手を握りかへしてやつた。それ以上は何も言ふことがなかつた。手を放すとYは柊の垣に沿つて駅の方へ歩いて行つた。