渡辺 温

四月馬鹿

何が 南京鼠だい

『エミやあ! エー坊! エンミイ― おい、エミ公! ちょっと来てくれよオ、大変々々!』出勤際に、鏡台へ向って、紳士の身躾をほどこしていた文太郎君が、突然叫びたてました。

『なあに? なんて、けたたましい声を出すの? お朔日の朝っぱらから気の利かないブン大将』

妻君のエミ子が、台所から米国製の花模様のあるゴムの前掛で、手をふきながら出て来ました。

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