平林 初之輔

文学の本質について(一)

一 形而上学的文学論の破産

「文学は種々の要素から成り立つ。そしてこれ等の要素は分析することができる。けれども、これ等の要素をどれ程分析していつても、そのあとに残るものがある。それが文学の本質である。文学を文学たらしめてゐるものである。」

以上のやうな考へ方を私は形而上学的な考へ方であると断定する。

多くの人々は、かうした考へ方を容認するか、或はかうした問題を全く考へて見ないことによりて、批評的精神の皆無を自ら暴露してゐる。これ等の人々は、文章を次のやうな公式で把握する。

青空文庫の作品カード