若山 牧水
樹木とその葉
その一
酒の話。
昨今私は毎晩三合づつの晩酌をとつてゐるが、どうかするとそれで足りぬ時がある。さればとて獨りで五合をすごすとなると翌朝まで持ち越す。
此頃だん/\獨酌を喜ぶ樣になつて、大勢と一緒に飮み度くない。つまり強ひられるがいやだからである。元來がいけるたちなので、強ひられゝばツイ手が出て一升なりその上なりの量を飮み納める事もその場では難事でない。たゞ、あとがいけない。此頃の宿醉の氣持のわるさはこの一二年前まで知らなかつたことである。それだけ身體に無理がきかなくなつたのだ。