宮沢 賢治

ありときのこ

苔いちめんに、霧がぽしゃぽしゃ降って、蟻の歩哨は鉄の帽子のひさしの下から、するどいひとみであたりをにらみ、青く大きな羊歯の森の前をあちこち行ったり来たりしています。

向こうからぷるぷるぷるぷる一ぴきの蟻の兵隊が走って来ます。

「停まれ、誰かッ」

「第百二十八聯隊の伝令!」

青空文庫の作品カード