海野 十三・丘 丘十郎
雪魔
東京の学校が休みになったので、彦太少年は三月ぶりに木谷村へ帰って来た。村はすっかり雪の中にうずまっていた。この冬は雪がたいへん多くて、もう四回も雪下ろしをしたそうである。駅をおりると、靴をかんじきにはきかえて村まで歩いたが、電柱が雪の中からほんのわずかに黒い頭を出しているばかりで、屋根の見える家は一軒もなかった。
「この冬は、これからまだ三度や四度は、雪下ろしをせねばなるまいよ」
と、迎えに来てくれた父親はそういって、またちらちらと粉雪を落しはじめた灰色の空を恨めしげに見上げた。
「五助ちゃんは何している? ねえ、お父さん」