海野 十三

すり替え怪画

ルパン式盗難

その朝、志々戸伯爵は、自分の書斎に足を踏み入れるや、たちまち大驚愕に襲われた。

それは書斎の壁にかけてあったセザンヌ筆の「カルタを取る人」の画に異常を発見したためである。

零落した伯爵の今の身にとって、この名画は、唯一の宝でもあったし、また最高の慰めでもあったのだ。この名画ばかりは、いくら商人から高く買おうといわれても、いつもはっきり断った。

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