宮本 百合子

ワーニカとターニャ

黄色いモスクワ大学の建物が、雪の中に美しく見える。凍った鉄柵に古本屋が本を並べてる。

狭い歩道をいっぱい通行人だ。電車が通る。自動車が通る。

モスクワ大学のいくつもある門を出たり入ったりする男女の学生の年は、まるでまちまちだ。

九年制の統一労働学校(小学校)を出ていきなり入ったらしい子供っぽい青年たち、娘、カセ杖ついて、重そうな書類入鞄を下げ相当ふけた男女学生もいる。(革命の国内戦やヨーロッパ戦争で負傷した人々だ。)みんなは笑ったり、喋ったり、または誰も対手にしないで片手をポケットへつっこみ、ズンズン歩いてく皮帽子の女学生もいる。

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