宮本 百合子

ロシア革命は婦人を解放した

皇帝と地主と資本家によって搾取が行われていた時代、ロシアの勤労階級の男は、教会の坊主から常に「お前らが此世でつかえなければならない主人は三人ある」と説教されていた。その三人の主人というのは「天の神、神の子であるツァー、ツァーの子であるお前らの主人、雇主など三人である」と説きつけられ、屈従を強いられていた。

働く婦人は一層ひどかった。坊主は女に向って十字架をふりかざし、恐ろしい目つきをして命令した。

「お前が一生命令に従わなくてはならない主人が此世に四人あるゾ。第一が天の神、第二が神のお子である皇帝、第三がお前らの使われている主人、第四が亭主だ。わかったか」

工場で女は十一時間、十二時間と働かされ、賃銀は一日三十五哥(三十五銭ぐらい)。身持ちになっても休めばクビであるから辛棒して働き、機械の前に倒れてそのまま赤字を生むことさえ珍しくなかった。物がわかると、獣のような生活から反抗するから、皇帝と資本家と地主との政府は、女を軽蔑して学問をさせず「女と牝鷄は人間でない」ということわざで女を圧しつけて、搾った。

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