葉山 嘉樹

生爪を剥ぐ

夏の夜の、払暁に間もない三時頃であった。星は空一杯で輝いていた。

寝苦しい、麹室のようなムンムンする、プロレタリアの群居街でも、すっかりシーンと眠っていた。

その時刻には、誰だって眠っていなければならない筈であった。若し、そんな時分に眠っていない者があるなら、それは決して健康な者ではない。又、健康なものでも、健康を失うに違いない。

だが、その(時刻)は眠る時刻であったが、(時代)は健康を失っていた。

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