宮本 百合子
私の会ったゴーリキイ
私がマクシム・ゴーリキイに会ったのは、ちょうど今から足かけ八年前の一九二八年の初夏のことであった。
知られているとおりにゴーリキイは一九二三年にその頃まだ生きていたレーニンのすすめによって、持病の肺病の療養のためにイタリーへ行ってそこで暮らしていた。
五年ぶりでゴーリキイがソヴェトへ帰ってくる。このことはソヴェト同盟の大衆にとって一つの大きい興味と感動の中心であった。五年の間に非常なテムポですすめられたソヴェト同盟の社会的建設の成果を、文学的・文化的前進の姿をこの馴染みふかい大衆からの作家であるゴーリキイは何とみるであろうか。
ゴーリキイが帰ってくるということがきまった春、モスクワ、レーニングラードその他の主な都会では特別にゴーリキイ歓迎のための展覧会をひらいた。それには当時のラップをはじめ、アカデミーの文学部、人民文化委員会の芸術部等が共同的に参加して、まことに有益な催しをもった。