木内 高音
やんちゃオートバイ
一
ポピイとピリイとは、あるお屋敷の車庫の中で長い間一しょに暮して来た、もう中古の自動車です。二人は、それぞれ御主人と奥さまとを乗せて、ちょうど、御主人夫婦と同じように、仲よく、りっぱに暮してまいりました。親切な、やさしい御主人にガソリンだの油だのを十分にいただき、行き届いた手入れをしていただき、何の不自由もありませんでした。
しかし、一日中、賑やかな街を駈け歩いてから、ガランとした車庫にはいると、二人は、どうも淋しくってたまりませんでした。二人は、それを自分たちに子供がないからだと思いました。
「男の子が一人あったらなア。」とポピイは言い言いしました。「そうすれば、自分の名前をついでもらうことも出来るのだが……。」