海野 十三

千早館の迷路

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やがて四月の声を聞こうというのに、寒さはきびしかった。夜が更けるにつれて胴慄いが出て来たので、帆村荘六は客の話をしばらく中絶して貰って、裏庭までそだを取りに行った。

やがて彼は一抱えのそだを持って、この山荘風の応接室に戻って来た。しばらく使わなかった暖炉の鉄蓋をあけ、火かき棒を突込むと、酸っぱいような臭いがした。ぴしぴしとそだを折って中にさしこみ、それから机の引出をあけて掴み出した古フィルムをそだの間に置いて炉の中に突込み、そして火のついた燐寸の軸木を中に落とした。火はフィルムに移って、勢よく燃えあがり、やがてそだがぱちぱちと音をたてて焔に変っていった。

「さあ、もうすぐ暗くなります。……ではどうぞ、お話をお続け下さい」

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