宮本 百合子
発刊の言葉
町の本屋の店さきを見ると、ハデな表紙の婦人雑誌が山ほどつまれています。どの一冊を手にとりあげてみても、まず美しく着飾った若い女の写真がのっているか、さもなくば、どうしたら美しく化粧できるかというようなことが書かれている。
なるほどこの頃は、不景気につれて、こういうブルジョア婦人雑誌にでも、どうしたら貯金が出来るかとか、失業や減俸にあった家庭のやりくりのしかたとかいう記事がのります。
しかし、わたし達すべて働く婦人は、世の中の不景気が深まるにつれ、一日一日と実に辛い暮しをするので、たとえば減俸についても、ただ、減俸された世帯をどうやりくるかという末のことだけでなく、何故減俸ということが起ったのかという根本のところまでを、どうかして知り度く思うのです。失業についてもそうです。
どうしたらこの不安な失業ということはなくなるか。減俸にあわないですむ世の中になるのか。そういう事も知りたい。