宮本 百合子
今にわれらも
〔二字伏字〕のおかげで農村の生活は一層ひどくなった。
この間東北の田舎へ帰ったひとからの手紙によると、村で五十銭ダマなどはもう半年も前から見ることが出来ない状態だそうだ。年とったおっ母さんが野菜売りに歩きはじめて一日に十銭から十五銭。救農事業というものが、どこの地方でも食わせものであることに、あきれたと書いている。
内職もひどいもので繩一まる(五百五十間)三十六銭。しかもこれは馴れた腕の大の男が朝六時半ごろから夜八時までかかっての仕事だし、米を一升食わねば、これだけの精は出せぬ。ひき合うものでない。炭運びにしろ、女は三俵つんで日に二度、一里ぐらいを往復して一俵につき五銭だ。
肥料なんど七割近い騰貴で、問題にならぬ。税の滞納は村の九分通りだそうである。初めのうちは皆心配したり、びくついていたが、村じゅうこうなっては却って力がついて、一つかたまって減[#「減」に×傍点]税の運動をやろうでないかという気運が出て来ているそうである。