中里 介山

大菩薩峠

一

昨日も、今日も、竜之助は大津の宿屋を動かない。

京都までは僅か三里、ゆっくりとここで疲れを休まして行くつもりか。

今日も、日が暮れた。床の間を枕にして竜之助は横になって、そこに投げ出してあった小さな本を取り上げて見るとはなしに見てゆくうちに、隣座敷へ客が来たようです。

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