海野 十三見えざる敵上海四馬路の夜霧は濃い。黄いろい街灯の下をゴソゴソ匍うように歩いている二人連の人影があった。「――うむ、首領この家ですぜ。丁度七つ目の地下窓にあたりまさあ」と、斜めに深い頬傷のあるガッチリした男が、首領の袖をひっぱった。青空文庫の作品カード