宮本 百合子

女の手帖

共学

期待はずれた今度の内閣改造の中で僅かに生彩を保つのは安倍能成氏の文部大臣であるといわれる。朽木の屋台にたった一本、いくらかは精のある材木が加えられたところで、その大屋の傾くことを支え切れるものではない。腐れ屋台につがれた細い材木が共に倒れて裂かれないことを願うのは多くの人の心持である。

アメリカから教育に関する専門家たちが大勢来ることになった。そして日本女子大学と英学塾とは早速大学に昇格するための運動を開始した。井上秀子女史が戦時中日本女子大学校長としてどのように熱心に戦争遂行に協力したかは当時の学生たちが、自分たちの経験した過労、栄養不良、勉学不能によって骨の髄まで知りつくしていることだろうと思う。そういう校長を絶対勢力として戴いて、どうして教育の本質を向上させ得るだろう。伸びるためには頭の上がからりとしていなくてはならない。

若い婦人が真の勉強をするためには女子だけの専門学校では駄目である。共学が誠意をもって実行されなくてはならない。安倍能成氏は文部大臣となって女子に全国の専門学校、大学を開放し得るであろうか、ここに試金石の一つがある。

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