宮本 百合子

婦人大会にお集りの皆様へ

日本の政府がポツダム宣言を受諾して、平和と民主の新しい人民の社会を日本に建設することを世界に向って約束してから今日まで、まる二年とすこしたちました。

この二年あまりの間に、私たちの生活におこった変化をかえりみますと、第一、憲法は改正され、昔のものよりは一応民主的なところの多いものになりました。新しい憲法のなかでは、男女の平等ということがいわれており、またすべての人民は働くことができる。すべての人民は教育をうけることができる。すべての人は、良心にしたがって行動する自由があるといわれております。

民法も改正され、一家のうちで戸主や長男にばかり認められていた特権も縮少され、婦人の財産上の権利、親としての権利も認められるようになりました。結婚の自由もあるようになりました。離婚の問題も婦人に不利であった条件を、男子と同等なものにしようとされていますし、刑法の上で、特に婦人にだけきびしかった姦通罪が消滅しました。

その中心にまだ天皇一族の特権をひろく認めているような憲法が、民主憲法といいきれないことは世界のひとしく認めて問題としている事実であり、最後的な承認はまだされておりません。しかし、過渡的にもせよ、こうして憲法が変ったことは、それにつれて民法、刑法の変更をもたらし、これまでの日本の婦人がおかれていた全く従属的な地位は高められました。このことは、私たちが公平にみとめてよいことだと思います。

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