海野 十三
毒瓦斯発明官
1
蒸し暑い或る夜のこと、発明王金博士は、袖のながい白服に、大きなヘルメットをかぶって、飾窓をのぞきこんでいた。
南京路の雑沓は、今が真盛りであった。
金博士の視線は、さっきから、飾窓の小棚にのせられてある洋酒の群像に釘づけになっている。いや、正しくいえば、その洋酒の壜にぶら下げられた値段札の数字に釘づけになっていたという方がいいだろう。
海野 十三
1
蒸し暑い或る夜のこと、発明王金博士は、袖のながい白服に、大きなヘルメットをかぶって、飾窓をのぞきこんでいた。
南京路の雑沓は、今が真盛りであった。
金博士の視線は、さっきから、飾窓の小棚にのせられてある洋酒の群像に釘づけになっている。いや、正しくいえば、その洋酒の壜にぶら下げられた値段札の数字に釘づけになっていたという方がいいだろう。